ブラック企業被害事件提訴の記者会見のお知らせ ―給料の半額を「固定残業代」とされた新卒正社員の事案―
本日記者会見を行いました事案のプレスリリースを公開致します。
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ブラック企業被害事件提訴の記者会見のお知らせ
―給料の半額を「固定残業代」とされた新卒正社員の事案―
各位
2月12日(木)午後1時30分より、以下のとおり、厚生労働記者会にて記者会見を開催いたしました。ブラック企業の被害者である原告本人及び代理人から、事件報告と今後の裁判の取り組みについてご報告させていただきました。
ぜひ取材・報道をお願いいたします。
第1 当事者および代理人
原 告:Aさん(20代前半男性)
代理人:弁護士 田村優介(ブラック企業被害対策弁護団副事務局長・城北法律事務所)
弁護士 野口景子(同上)
被告:不動産仲介会社「株式会社うちナビ」
第2 本件の経過
本件は、近年社会問題化している、若者を使い捨てにする「ブラック企業」の被害事案である。
Aさんは、2014年5月、近年急成長しつつある不動産仲介会社「株式会社うちナビ」に新卒で入社した。Aさんは入社後、同社の都内支店に配属され、ホームページ上の物件入力作業、店舗内での物件紹介や店舗外での物件案内に従事した。
就職説明会で配付された資料には、「基本給30万円」、「完全週休2日制」などの魅力的な条件が掲載されており、また、同社社長が「日本で一番、人を大切にする会社を創る」などと謳っていたため、Aさんは安心して長期に働ける企業だと思い、就職を決めた。
ところが、入社後まもなく、以下のような問題が判明した。
① 求人票とは異なる給与体系
入社後、初めて受け取った給与明細には、基本給15万円、「固定割増手当(いわゆる固定残業代)」15万円と記載されていた。
採用及び入社の際はもちろん、退職するまで、同社はAさんに対し、固定残業代やその内訳について何ら説明をしたことはなかった。
② 求人票から乖離した長時間労働と残業代不払い
Aさんの配属された支店においては、朝8時に出社し、終電間際まで働く長時間労働が常態化していた。休憩時間は1日20、30分程度,休日は月2日程度しか確保されていなかった。
このような労働環境の下、Aさんの残業時間は、5月は約150時間、6月は約200時間に及んだ。いわゆる「過労死ライン」月80時間を大幅に超える労働時間である。
また、たとえ固定残業代制度の下でも、一定時間以上残業をした場合には追加して残業代を支払う必要があるが、同社は追加の残業代を一切支払っていなかった。どれだけ残業をしても、実質的には固定給30万円しか支払われない違法な状態だったのである。
さらに、配属支店では店長の暴言が常態化しており、原告自身、口頭やLINEで「死ね」「バカ」「カス」「ブタ、承知しましたじゃねーよ。謝れ」などの暴言を受けた。
心身共に疲労が蓄積したAさんは、不眠症状が現れ、昼間でも意識が朦朧としたり、論理的な会話が成り立たなくなるなどした。こうしてAさんは、入社から2か月程度で退職に追い込まれた。
退職の意思を告げた際も、Aさんは、配属支店の店長らから不当な対応を受けた。
配属支店店長は、「まだ利益を出せないAへ」と、暗に新卒社員であるAさんが営業成績をあげられていないことを非難しながら、残務整理を済ませてから退職するよう告げた。また、同店主任は、以前、Aさんが、社用車を運転中、後方から衝突され、加害者に逃げられたトラブルを挙げ、「このままだと、会社はお前の両親に車の修理代を請求させてもらうことになる」などと脅した。
このように、Aさんは多大な精神的・肉体的苦痛を受け,キャリアを傷つけられた。Aさんは、同社や不動産業界全体の労働環境改善に繋がればと思い、提訴を決意した。
第3 本件の主な問題点
1 高額な固定残業代と残業代不払い
2 求人票と実態の乖離(給与体系、長時間労働)
4 退職妨害と損害賠償請求
【担当者連絡先】
担当者:野口景子,田村優介
(城北法律事務所、TEL:03-3988-4866)
以上