弁護士 田村優介@HatenaBlog

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許されないヘイトスピーチ (城北法律事務所ニュース2013年夏号より)

私の所属しております城北法律事務所では,夏とお正月の年2回,事務所ニュースを発行しております。
事務所ニュースでは毎回所属弁護士がその時に取り組んでいるテーマ等について記事を執筆するのですが,今回私は新大久保ヘイトスピーチについて書きました。
ブログにも掲載しておきます。

許されないヘイトスピーチ

 2013年2月以降,多数回にわたって,在日特権を許さない市民の会在特会)やその他団体によって,新大久保周辺地域において集団行進が行われ,「殺せ殺せ朝鮮人」,「韓国=敵,よって殺せ」,「朝鮮燃やせ,我々はソウルの街を火の海にするぞ」等のシュプレヒコールやプラカードが出され,また,沿道の歩行者や店舗の店員に「韓国人は出て行け」などの罵声が浴びせられ,多くの市民が強い恐怖を感じ,店舗の営業が妨害される状況が発生しています。
 これらの行為によって周辺の在日外国人の方の多くが,現に差し迫った生命身体の危険を感じ,恐怖を抱いたことは間違いありません。
 ヨーロッパのドイツ,フランスなどにおいては,外国人排撃運動に対し社会のしかるべき対応が行われなかったことから外国人の生命が奪われ,また放火等重大な犯罪に発展したこともあり,このようなことは到底見過ごすことができません。
 確かに,表現の自由との関係で,公権力に安易に表現行為の規制を求めることには慎重でなければなりません。言論には言論で対抗することが原則であり,その意味でも,このような行為は許されないのだ,ということを市民のなかでしっかりと議論し,対抗言論をしっかりと醸成していく必要があるのはいうまでもありません。
 しかしながら,在特会が発している上記のような言葉,行為はもはや表現の自由の範囲を逸脱した憎悪に基づく攻撃であり,まったく許されないものです。これについては,言論による対抗による解決を待つだけでなく,弁護士としてできる措置をできる限り行っていく必要があります。
 現在,弁護士有志は,在特会の行為に対し,弁護士会への人権救済の申し立て,警視庁への申し入れ,また参加者による傷害・暴行行為の告訴等,様々な手段を用いて対抗しています。
 また,週末等に行われる集団行進の現場に弁護士が赴き,有志によって行われているカウンター行動の見守り等も行っています。
 市民の方のカウンター行動等により,最近は在特会の動きも過激さを表面上抑えるよう変わってきている様子もあります。これは行動のひとつの成果といえると思います。
 また,在特会のような他者のバッシングが活性化するのは,現在の日本において生活基盤等が不安定となり,何か特権をもって安定した暮らしをしている存在を想像して,いわゆる「仮想敵」にしてしまうという状況もあると考えられ,このような状況の根本的な改善も当然のことながら求められます。
 今後もこの問題を注視し,弁護士と市民が協同して,このような動きを許さないことが求められます。

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